2014年1月11日 星期六

台湾のファンキーな神々(五)美しくて、ワイルドだぜぇ~~ 斉天大聖

 
特徴
類人間超進化戦闘体
属性
武将
主要機能
子守り、悪霊退治など全般
階級                 
★★☆☆☆
MP(法力)
★★★★☆
ポピュラー度
★★★☆☆


 帝君先生に次いで、今回はもう一人の知名度の高い神様を紹介します。その名は斉天大聖です。早い話、孫悟空です。孫悟空の人気ぶりはあえて紹介しなくてもいいと思いますが、台湾の人々は神である悟空先生を呼び捨てなんかできませんので、台湾では、悟空先生のことは大聖爺と呼ばれています。
 まぁ、西遊記の中から出たキャラですが、架空人物を崇めるのかよとツッコんではいけません。学者たちの考証によると、大聖爺の原型は古インド神話のナンチャラ神から来ているみたいのです。だから、一応由緒正しい、ですね。
 ええと、はい、サルです。天地の霊気を吸収した石から生まれて、自分のことを「美王」(美しいサルのボス)と自称してすごい師匠のところで修行してきました。それで自分の手に合う武器を探すために、今度はまた三太子先生事件で被害を受けた龍王の龍宮で営業妨害をぶちかましてきました。龍宮の大黒柱を強奪して武器にするだけではなく四海の龍王から貢いでもらったというジャイアン的な子でした。しかしそこで寿命が尽きて、龍王たちが万々歳する中で死んで冥界に行ってしまいました。だけど、すごい武器を手にした大聖爺はあの世でも大暴れして、閻魔大王たち(台湾の民間信仰では十人いるので)をボコボコしたあと、人々の寿命を決める「生死簿」というデースノートを奪って自分の寿命を「死ぬかボケ」と改ざんしたら、はいメデタク復活!!
 こんな世界の秩序をメチャメチャにした奴だけど、とにかく強いので天界はなんと談合に出ました。そして大聖爺も官位をもらってご満悦で実家に帰りましたが、ちょっと時間経てば自分の官位は実は馬小屋管理人というふざけた事実が分かって、再び天界に宣戦布告をしました。それを天界が許すわけがなく、天界の切り込み隊長三太子先生が派遣されたけど、はいボロ負けでした。そこで姑息にも天界は二度に大聖爺を招聘して、斉天大聖の称号を公認してしまいました。しかし大聖爺はこれで懲りるわけがなく、西王母の食ったら不老不死の桃を食べて、飲んだら法力がすげぇ強くなる仙人の酒を飲んでしまったので、再び天界から追討令が出されました。でも大聖爺の一番すごいところは朝敵なんかクソ食らえという気概で、天界軍十万を一人でやっつけました。一人で亡国寸前にされたという緊急状況になった天界はやむを得ず釈迦如来に出てもらってやっと大聖爺が調伏されました。
 でも、死なない、殺せない大聖爺は五百年の監禁のあと、釈迦様の計らいで警備員として三蔵法師の大型仏教ツアーに参加しました。もちろんご存知の通り、大聖爺は見事に役割を果たして、その後更に闘戦勝佛といういかにも強そうな称号を頂いて再び天界の神々の列に加えられました。このような天界一のDQNである三太子先生さえ手に負えないツワモノなので、強さは問題ないです。しかしご出身はお猿さんしかも石から生まれたというので、切なくも神々での階級は高いとはいえません。でも逆にそれは庶民たちにとって素晴らしいことです。何せ気軽に頼れる上になんか強そうですから。だから、小説の中のキャラというのに、信仰の現場では済公先生にも負けない人気ぶりです。あと、台湾では昔子供の癲癇を「中猴」(サル病にかかる)というので、サルのボスである大聖爺の息子になればそれが治るという伝承が生まれて、子守りの神様としても大変有名です。
 そういえば、台湾では西遊記の三蔵法師は日本と違ってクソ真面目な爺の姿していますので、日本のエロい三蔵法師を最初に見た台湾人は、そのカルチャーショックは計り知れないものです。
 俺もそうだった。


☆大聖爺に会いたいならここに!
台南萬福庵
台湾台南市中西民族路二段3175
大聖爺の廟が多くて、系統性もあまりないが、あえて推すならここです。一般の大聖爺廟と違って、ここはなんと鄭成功時代からの由緒正しい古い廟です。建築自体は数十年前に建て替えたものなのであまり期待しないでください。しかしちゃんと当時の壁は一つ残ってあります。この廟の一番アツいところは、そもそも創立当時はエラい人の未亡人が仏法を修める別館だったけど、いつか廟の前にある木にコブがいっぱいできて、よく見ればその形はとてもサルの群れに見えるから、またいつの間にかここが全台湾の大聖爺廟の総本山になりました。とにかく面白い廟です。


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