2013年9月16日 星期一

台湾b級グルメ紀行――高雄左営旧城美食炒麺

 どうも、台湾b級グルメ案内人のサイさんです。
 記念すべき第一回で、まずサイさんの思いが深いb級グルメから紹介したいと思います。その名は、「炒麺」といいます。
 普通中華料理の場合、炒麺といえば中華風焼きそばになります。台湾でも普通はそうです。しかし、実は台湾で「炒麺」といえば、二つの食べ物を指すことにもなります。一つは上述の中華風焼きそばで、海鮮や肉などの具が入っていてコッテリ系の炒めた麺ですが、もう一つは、今回紹介する炒麺のことです。

 
 
これこそ今日の主役です。一見中華風焼きそばとはあまり変わりがないが、よく見れば、中華風焼きそばほどコッテリではなく、具が少ないかわりにうえに肉そぼろがあることが分かります。

 これこそ、台湾風炒麺(ツァーミー)です。
 台湾狭くとはいえ、南北各地の食文化に大きな違いが存在しています。台北では普通に食べているものが、台南に行けば「それなに」ということは大いにあり得るし、台南で皆普通の朝食だと思うものが、台北にいたら探すのが一苦労ということもしばしばです。台湾風炒麺こそ、そういうものです。主に台中地方で朝食として食べられている炒麺は、台北でも台南でもあまり見かけません。そのために、台中で育って現在南部在住のサイさんにとって、朝飯の「炒麺」は常に郷愁の種です。

  そもそも、炒麺は中華風焼きそばの「チャウメイン」ではなく、台湾語で発音される「ツァーミー」です。焼きそば売っている店なら台湾中にありますが、炒麺は台中から離れれば非常に少なくなります。ただ、看板に書けば両方とも「炒麺」になりますが、台湾人はどう見分けしているのですかね?
 答えは、台湾人にも分かりません。現物を見るまでは。サイさんも何回も看板見て現物を確かめてガッカリしたことがあります。
 炒麺、「ツァーミー」は一体どういう食べ物でしょうか。実は炒麺も焼きそばですが、中華風やきそばと違い、軽く鍋で油を絡めただけのものです。そのあとセイロの中に入れて、注文を受けてから出してその上に肉そぼろソースをかけるという「労働者の朝飯」です。なぜなら、油がいっぱい入っている炒麺のほうが、ほかの朝食より昼まで持つからです。
 
  これは、高雄では珍しい左営旧城美食の炒麺です。炒めた時にはソースを使わなかったので、味は普通の焼きそばより薄く、そのために食するときには肉そぼろソースをかけます。その上、普通食べるときには、お客さんが自分の好みで赤い甘辛ソースをさらにかけるのが流儀です。
 炒ビーフンも同じセイロで保存されていますので、ちょっと混ざっているのがご愛嬌。

 ちなみに店の場所はここです。


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 高雄左営の有名な廟である城隍廟の隣にあり、観光名所の蓮池潭も近くにあるので比較的に分かりやすい立地です。
「あの世の行政長官」である城隍様の廟です。
 
 城隍先生の事務所内部写真です。
 
 後の黒い方が城隍先生ご本人です。

 店のすぐ近くにあるので、ぜひ足を運んでいただき、台湾の民俗の奥深さを体験してみてはいかがですか。
 
 さて、本題に戻りましょう。この店の売りは、実は「台湾式おでん」です。
 
 こんな感じです。自分で好きな具を選んでたっぷり汁を入れてスープにする方式です。そう、台湾式おでんでは、スープと具との重要性は一緒です。

 
 民間信仰の力の強い台湾ならでの店内風景。土地神である土地公(商売の神でもあります)を堂々と客の前で祭っています。
 
店の前から見ればこんな感じです。臭豆腐とかも売っていて、守備範囲が広い店です。
  今回はまず炒麺をテーマにしますので、おでんなどは割愛します。
 炒麺をキープしているセイロです。中華風焼きそばと違い、昔ながらの「安いだから大量作りにしていちいち炒める暇なんかねぇよ」という方式が、伝統的な味を作り出しました。ビーフンも一緒にキープされていますので、出される炒麺にはかならずというほどビーフンが混ざっています。ビーフンを注文するときも然り。ただ、「これじゃないと本物じゃない」という客もいるほど、もう、文化ですね。
 
 さて、試食タイムです。結論から言えば、「普通」です。油はしつこくはなく、キャベツなどの野菜もほどほどよいのですが、肉そぼろの味はうまく麺にしみ込んだとはいえませんでした。これも、台中出身のサイさんならの辛口評価かもしれません。実は普通に旨いです。あまりこだわりを持たねばね。
  そして、炒麺のつきものはこのホルモン系のスープです。特に腸類と豚の血スープはもう定番です。なぜですか?あの時代、これらが安かったからです。庶民の味ですから。
 
 豚の血といえばエグそうですが、これが意外とさっぱり系です。台中では高菜で煮込むのが作法ですが、南部は大量の葱を使います。この店も、葱をいっぱい使いました。そして具がいっぱいあり、ボリューム感抜群です。

 ついでにこれをも。
 
  これは「蚵嗲」といいます。中に牡蠣が入っているあげものです。嗲という字は当て字で、台湾語では蚵嗲を「アーデー」といいます。

  このたれにつけて食べます。本体はあまり味っけがないので。
 台湾の牡蠣は気候が暖かいせいか、ほぼ小粒です。だが味は大粒のものには負けません。そしてなかのキャベツは、絶妙なサクサク感と香りを出しています。

 
 今度、ぜひあなたも行ってみてください。